「上書き」によるデータ消去、
本当に安心ですか?
『米国国防総省規格(DoD 5220.22-M)』に準拠した「上書き」は、長らくデータ消去方法のスタンダードとされてきました。
よって今なお「国防総省方式」を絶対的なデータ消去方法と認識しておられる方も多いかもしれません。
ところが現在は、2006年に登場した『NIST SP 800-88(現在は2014年に改定されたSP 800-88 Rev.1が最新)』こそが、データ消去におけるグローバルスタンダードとなっています。
例えば、「国防総省方式」がスタンダードであった当時に存在していなかったSSDについて、『NIST SP 800-88 Rev.1』は、”データ消去の観点からSSDのストレージ技術の進化(オーバープロビジョニング*1やウェアレベリング*2)は革命的”であり、“上書きですべてのデータを消去することは不可能”と述べています。
1:パフォーマンス向上および長寿命化のために一定の余剰領域を確保しています。この余剰領域は通常ユーザーがアクセスできないため上書きが実行されず、データ消去にとっては仇となります。
*2:長寿命化のために一部の領域にデータ書き込みが偏らないようにする機能。よってデータ消去のために上書きを実行しても、目的の領域に書き込みされない可能性があり、こちらもデータ消去にとっては仇となります。